Hono Conference 2025 参加レポート - Silver Sponsor として協賛しました!

はじめに

こんにちは、人材プラットフォーム本部 プロダクト開発部グループマネージャの松田です。ジョブメドレーアカデミーというオンライン動画研修勤怠シフト管理の開発を行っています。

2025年10月18日(土)、Hono Conference 2025に参加してきました。Honoは、Cloudflare Workersなどのエッジ環境で注目を集める超高速・軽量Webフレームワークであり、私たちメドレーでも新規プロダクトの技術スタックとして採用しています。

今回、メドレーはSilver Sponsorとして本カンファレンスに協賛しました。私たちはHonoコミュニティの発展を支援するとともに、自社のエンジニアの城間(@shiromie)も登壇し、HonoとAIを組み合わせた開発ワークフローについて発表しました。 本記事では、カンファレンスの熱気ある会場の様子と、Honoはもちろん、AIBunなど、私たちが普段の業務で使用しているテーマを中心に、印象に残ったセッションを技術的な考察と共にご紹介します。

会場の様子

Hono Conference 2025は、docomo R&D OPEN LAB ODAIBAで開催されました。

会場となった「docomo R&D OPEN LAB ODAIBA」の入口

受付案内

カンファレンスは、Honoの作者@yusukebeさんによるオープニングセッションから始まりました。

スライドには「週200万 / 月800万」というnpmダウンロード数が映し出され、このフレームワークがいかに注目されているかが分かります。この後のブース巡りや各セッションで、Honoを支えるエコシステムや活用事例を見ていきたいと思います。

Hono作者 yusukebeさんによるオープニング、npmダウンロード数の伸びに圧倒

今回のイベントでは、多くのノベルティがありました。Cloudflareのオレンジ色の靴下は特に印象的でした。また、Vercelのロゴが入ったステッカーと、クッキーをいただきました。ステッカーも充実しており、Denoのかわいい恐竜のステッカーや、JSP(JavaServer Pages)のロゴがありました。 特に、チームとして普段利用しているBunのステッカー(まんじゅう)も頂けて大満足でした。

ノベルティ2

ノベルティ1

ノベルティ3

セッションのハイライト

私がリアルタイムで聴講したセッションの中で、印象に残ったいくつかのセッションとその感想を紹介します。

Blazing Fast Full Stack Apps with Hono and JSX

TwitchやYouTubeで人気のCJ氏(@CodingGarden)による発表です。ハイライトは、HonoがAPIフレームワークから、柔軟なフルスタックフレームワークへと進化した点です。

これまではAPI構築がメインでしたが、今回の発表では、Honoが標準でサポートするJSX、CSS in JSのように使えるHono CSS、ReactのSuspenseのように非同期データを扱えるストリーミング機能、そしてuseStateやuseEffectまで備えた軽量なクライアントコンポーネント(JSX DOM)機能がデモされました。

現在HonoをAPIサーバとして利用しているため、今回紹介されたHonoxは、今後の選択肢の一つとして非常に魅力的だと感じました。

CJ氏は人気のテックポッドキャスト『Syntax.fm』のホストとしても知られており、その語り口はさすがで、発表自体もとても丁寧で分かりやすかったです。

Interesting memory leak with Hono on Bun

Bun社に所属するSosuke Suzuki氏(@sosukesuzuki)のセッションです。私たちのチームでもHono on Bunの組み合わせを採用しているため、メモリリークというテーマはとても楽しみにしていました。

ハイライトは、Honoのストリーミングヘルパーと、BunのGC(ガベージコレクション)の特性が組み合わさった点でした。

まず、Honoの処理において、レスポンスとストリームが互いを参照し合う「循環参照」が発生します。Bunが採用するJavaScriptCore(JSC)のGCは、本来これを検知して解放できるはずでした。

しかし、レスポンスからストリームへの参照が『ストロングリファレンス』という特殊な参照として実装されていました。これはGCのルートのように扱われるため、GCは「両方とも到達可能である」と判断してしまいます。その結果、どちらも解放されずにメモリリークを引き起こしていた、という内容でした。

Bunを普段から利用するので、こうしたウィークポイントを具体的に知れたのはとても参考になりました。このセッションを受け、Bun自体のバージョンアップを積極的に追随し、修正を確実に取り込んでいく重要性を再認識しました。

@scalar/hono-api-referenceとMastraでシステム仕様書を自動更新するAIワークフロー構築してみた

続いて、弊社メドレーのエンジニアの城間(@shiromie)による登壇セッションです。このセッションでは、私たちが普段の開発で直面しているドキュメントの陳腐化という課題に対し、HonoとAIを組み合わせてどう解決したかを発表しました。

業務の合間を縫って構築したこのワークフローは、RAG(Bedrock + OpenSearch)とClaudeを活用したものです。特に、AIがハルシネーションを起こさず、事実に基づいた仕様書を書くようチューニングする点が、今回の取り組みにおける技術的なハイライトでした。

この取り組みは、まさに「AIが自動で成果物を作成し、人間がレビューするだけ」という理想を体現しています。具体的には、GitHub ActionsがAPI仕様書(llms.txt)の差分を検知すると、RAGが既存ドキュメントの関連箇所を特定し、Claudeが更新内容を判断してプルリクエストを自動作成します。開発者はそのPRをレビューするだけでドキュメントの鮮度が保たれます。

この取り組みは、AIを使った開発をより一層加速させる発表でした。

城間さんの登壇

Closing - Hono CLI 登場

Hono ConfのClosingで終わったかと思いきや、そこでHono CLIが世界最速で発表され、まさかの発表に会場は熱狂に包まれました。 コンセプトは「CLI for Human and AI」で、Hono自身もAIフレンドリーを意識した進化を遂げていることがわかりますし、ここにいるエンジニア全員が求めていたものでは?と感じました。

AIと開発者のための主要機能

1. AIエージェントの自律性向上 (AI Friendly)

AIエージェントがHonoをより深く理解し、扱えるようになります。

  • hono search
    • AIがドキュメントを自律的に検索し、Markdown形式の仕様を正確に把握します。
  • hono request
    • サーバーを一切起動せず(app.request()を直接実行)、型安全なリクエストをテスト実行できます。

2. 革命的な開発体験 (Developer Experience)

開発者のワークフローを根本から変える機能が導入されました。

  • hono serve --use <middleware>
    • 個人的に衝撃的だった機能の一つです。
    • コードを一行も変更せず、コマンドラインから直接ミドルウェアを注入(例:--use logger)できます。

3. 劇的な本番性能の最適化 (Performance)

  • hono optimize
    • アプリのルート情報を事前コンパイルする PreparedRegExpRouter を生成。
    • これにより、ルーターの初期化速度が16倍以上高速化し、バンドルサイズも大幅に削減されます。

Hono CLIを利用することで、開発速度が劇的に加速し、より速くプロダクトの価値を提供できるようになるだろうと感じました。

終わりに

2025年10月18日に開催された「Hono Conference 2025」に参加してきました。Honoに関わる企業・人々が一堂に集まるとても学びの多かったカンファレンスでした。 技術的な側面では、Honoが単なる「高速なAPIフレームワーク」から、JSXによるフルスタック開発、そしてHono CLIによる「AIエージェント開発基盤」へと、そのエコシステムを急速に拡大させていることを実感しました。 特に、私たちが実践している「Hono × AI」の取り組みと、コミュニティのAIに対する大きな流れが一致していたことは、大きな自信となりましたし、これからのHonoの進化が楽しみです。 素晴らしい場を創り上げた主催者・スタッフ・登壇者・協賛企業の皆様に深く感謝いたします。

メドレーでは、カンファレンスへのスポンサーの他にも、イベントの開催などを通じて技術とコミュニティへの貢献を続けています。

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