Ruby World Conference 2025 参加レポート - ゴールドスポンサーとして協賛しました!

はじめまして!人材プラットフォーム本部のプラットフォームチームで、プラットフォームエンジニアリングとしてジョブメドレープラットフォームを開発している安藤雄飛と申します。(←プラットフォーム×4がお気に入りの自己紹介)

さて今回は、2025年11月6日と7日に島根県松江市の「くにびきメッセ」で開催されたRuby World Conference 2025に、当社メドレーはGoldスポンサーとして参加しました。また、メドレーの歯科診療所事業部長であり、Omotesando.rbのオーガナイザーやRuby関連執筆で活動されている牧さんの講演を聴講しましたので、そのカンファレンスの熱気をお届けします。

カンファレンスのサマリ

  • Rubyコミュニティの懐の深さ: 30年続くRubyのOSSコミュニティは、産学官連携や地域、国際文化交流まで有機的に発展しており、その間口の広さと懐の深さが際立っていました。
  • エコシステムの進化と拡充: Rubyで爆速リリースされたプロダクトが急成長し、次のフェーズに進むにあたり、Rubyエコシステムとメソドロジーがさらなる拡充と進化を遂げていること。
  • オープンな知識共有: Rubyのオープンなマインドに共感した「つよいRubyist」たちが、成功事例だけでなく、課題や失敗、挑戦を共有することで、コミュニティ全体の一体感と共有資産を生み出していること。

会場 Ruby World Conference 2025会場

会場となった「くにびきメッセ」はJR松江駅から徒歩圏内ながらも、澄んだ少し冷たい風を感じながら大橋川を渡っているうちに、どこか神聖な雰囲気に包まれます。メドレーの松江エンジニアリングオフィス「Tech Studio MATSUE」も、このすぐ先にあります。

オープニングセレモニーでは、Rubyの父Matz(まつもとゆきひろ氏)をはじめ、島根県知事、松江市長の挨拶があり、Rubyが地域に深く根付いた文化であることが伝わってきました。

2日間にわたる27の講演・プログラムは、Rubyが様々な分野で活用されていることを示していました。主な活用事例は以下の3点です。

  • アフリカ東部を中心とした銀行口座を持たない14億人に向けて、金融排除問題をオフラインのフィーチャーフォンとRubyで解決したBernard Banta氏(アフリカRubyコミュニティ議長)の基調講演をはじめ、東日本大震災から首都圏のガスインフラを守った防災システムや事業継続(BCP)マネジメントシステム、政府案件として複雑な台湾語をRubyで解析するなどの 「喫緊の社会イシューをRubyで解決」 した事例
  • PicoRubyによるマイコンやIoT・ビジュアルアートのファンダムや、ruby.wasmを活用した学生向けプログラミングゲームやメタプログラミングRuby問題集、社内のDXやキャリアチェンジにRubyを活用した人材育成、そしてPythonが優勢なAI/機械学習分野におけるRubyの導入事例や機能移植へのモチベートなど 「Rubyの更なる可能性」 を示唆する講演
  • ビジネスのスケールに伴うシステムと開発組織の拡大、そしてそれに付随する社会的インパクトに対応するための品質とアジリティの両立に 「Rubyのエコシステムとコミュニティを活用したリアーキ戦略」 の紹介

どの講演も自社サービスや担当システムへの愛とRuby愛に溢れるものばかりでした。

歯科医療DXを支えるRuby職人の魂

Day1のトリを務めたメドレー歯科診療所事業部長、牧さんの 「歯科医療DXを支えるRuby - クラウド歯科業務支援システム『DENTIS』の開発事例」 の講演の様子がこちらです。

牧さん登壇

メドレーのミッション 「医療ヘルスケアの未来をつくる」 と、松江の拠点、そして「MEDLEY AI CLOUD」による未来の医療体験の紹介の後、牧部長が牽引するクラウド歯科業務支援システム 「DENTIS」 のデモが披露されました。

牧さん登壇

単なるサービス紹介に留まらず、歯科医療というドメインの持つ難しさが会場に伝わりました。そして牧さんは、その複雑さを以下の3点にまとめました。

  • 医療会計の難しさ
  • 保険診療の難しさ
  • 歯科特有の情報処理

具体的な事例を用いたエッジケースや計算ツリーの複雑さの説明では、指数的なカバレッジの増加や、2年に1度見直しが入る診療報酬の改定と、その施行までの期間のタイトさ(本当に開発者にとっては驚くほど短期間です)がとても印象的でした。

そして、保険点数と医療費(月の算定エラーやアラートを含む)のメインロジックをActive Recordのコールバックからinteractor gemにリプレースすることと、予約システムデータ連携と電子カルテ・レセコンエンジン部を分離し、独立してスケールできるようなアーキテクチャに進化させ、この複雑なドメインをモデリングするための技術的挑戦を惜しみなく語り、Ruby職人の魂を感じさせました。

牧さん登壇

最後に、牧さんはこのシステムの「医療・ヘルスケアの未来を作る仲間」を募集していますと締めくくりました。会場にはたくさんのRubyistと学生さんもいましたが、私は、はたしてここまで複雑な事業ドメインを抱えるシステムに対してどれだけのエンジニアがチャレンジしようと思ってくれるのかと一縷の不安がありました。

ところが、質疑応答では、はじめに「大変やりがいのあるシステムだと思います。」と好意的な前置きをした上で「歯科診療のドメイン知識の取得が鍵になると思いますが、どのように解決されていますか?」と質問がありました。

牧さんは、「元々社内に数名の医療ドメインエキスパートがいることや専門家がジョインしていること、エンジニアも厚労省のPDFを読み込んだり勉強会などを通じてキャッチアップしていることにより、社内で情報のインデックス化が進んでいる。」との回答でした。

まとめと、未来を作る仲間へ

Rubyが入門のし易さや、開発者体験の良さといった スタートアップ事業における迅速性のみならず、ビジネス環境の変革に合わせた柔軟性や、システムや組織のスケールの適応性も兼ね備えている事を再認識した機会でした。特にRubyの 高い生産性 で開発フェーズを圧縮し、結果としてテストに時間を費やせるようになり、金融や防災、医療といった ミッションクリティカルなシステムでも品質を高められる という技術的判断に大きく納得させられました。

さらに、このRubyの発展と進化を支えているのが、このRubyコミュニティです。冒頭申し上げましたとおり、OSSコミュニティとして技術者同士のみならず、産学官、地域・国際文化交流がとても自然な形で融合しており、あらゆる形でコミュニティに参加するギバー達の貢献がエコシステムやナレッジとして、Rubyそのものとそれを使っている多様な企業や機関を通じて人々の幸せに還流されていく様子は、まさにOSSコミュニティの理想形ではないでしょうか。

以上、Ruby World Conference 2025のレポートでした! メドレーでは今後もRubyを含めて様々なOSSコミュニティへの協賛、オーガナイズ、登壇、コントリビュートなどを通じてOSSの発展に寄与してまいります。

そして、私たちと一緒に 「医療・ヘルスケアの未来をつくる仲間」 を大募集しています!メドレーの事業や、OSSを通じた医療DXと医療人材不足解消への挑戦に興味を持たれたエンジニアの方は、ぜひこちらメドレー採用資料もご覧になってください。

集合写真 左から安藤、登壇された牧さん、Tech Studio MATSUEの三原さん(積極的にご質問されてました)

太鼓 レセプションで松江の太鼓「鼕(どう)」を体験するMatz氏とBernard Banta氏

飲み会 レセプション後の流れで自然と2次会にお集まり頂いた、牧さんと親交の深い色々な会社の #rubyfriends の皆さんと記念撮影

松江オフィスの集合写真 メドレー松江エンジニアリングオフィス「Tech Studio MATSUE」の皆さんと一緒に

We’re hiring!

現在、メドレーでは一緒に働く仲間を募集しています。この記事やイベントを通じて興味を持っていただいた方は、ぜひお気軽にご連絡ください。 カジュアル面談も実施しています!

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